大規模修繕工事の現場から、、、

 

 当日は五月晴れを思わせる快晴。

 現場見学会には最高の天気でした。

 

 外部は、足場と落下防止ネットが張り巡らされています。

 

現地マンションの概要は、以下の通り。

 

新築年 2000年(築17年目)

規模 地上11階建、40戸(全住宅)

構造 RC(鉄筋コンクリート)造

工事概要 屋上防水、タイル&吹付塗装、外壁塗装、ベランダ防水、鉄部塗装、シーリング

工期 4か月

工事予算 3,500万円


 

 会場はまるで特設ステージの様相。

 

 特別にあつられたものではなく、現場事務所です。
 普段は職人さんたちの憩いの場となります。
 職人同士での連絡の徹底や、安全に関すること、住民さん達への配慮を伺わせる掲示物等が、壁に貼られています。

 

 先ずは、屋上から。

 

 手前の薄い水色の部分は、ウレタン塗膜防水を施しています。

 特に、角のカギの手状になった部分には、メッシュ塗装を施す万全ぶり。

 

 このマンションの屋上へは、専用の鍵で施錠を開けて、見学会用に見せてもらえるようになっています。

 


 

 次に、廊下の施工途中経過を確認します。

 

 クラックは広さにより施工方法が違います。

 更に、クラックの長さによって、施工金額に違いが出てきます。

 

 単に、クラックが何本あって、アバウトに長さを計り、施工金額を算出する、、、なんてことは当職らはしません。

 

 実際の現地で、測量した上で、入札へ参加する会社へ算出するよう促します。


 

正に、施工途中。

 

黄色い線は、クラックが入っている部分を示しています。

その横の白い部分は、補修した部分。
このクラックは0.3mm未満(*)のクラックだったため、エポキシ樹脂を注入してクラックを埋めます。
*幅が0.3mm未満のクラックなら、上記の補修方法で問題はありませんが、それ以上となると問題です。
 雨水、炭酸ガスなどの浸入経路となるからです。
 それらが侵入するとどうなるか、、、コンクリートの「アルカリ性」が次第に失われ「中性化」していきます。
 その結果、コンクリートの中の鉄筋に「錆(さび)」が発生します。
 錆(さび)が原因で、コンクリートの強度が低くなるだけではなく、割れたり、亀裂が大きくなって、部分によっては崩落する危険性があります。

 

 

 施工前のクラックが入っている目印。

 

 ヘアクラックとも呼ばれる細かいクラックが入ってしまうのは、建物の宿命でしょう。


 

 次に、壁面タイル。

 

 こちらは、チョークで目印。

 

 矢印で、タイルの浮きを示しています。

 丸で囲った部分が、浮いている部分です。

 

 タイルの浮きが狭小であれば、エポキシ樹脂を注入し施工完了となります。

 

 費用も安価でお財布に優しいですね。

 


 

 こちらも、タイルの浮き。

 

 クラックは目視で確認できますが、タイルの浮きを目視で確認することは困難。

 

 専用の道具(テストハンマー)で、タイルをなぞるようにして叩き、打音により判断します。

 

 浮きが激しく、広範囲にわたる場合、先のエポキシ樹脂を挿入するといった施工方法とは異なります。

 

 判断基準

 50cm×50cm=0.25㎡≦浮きタイルの面積

 

 この場合、全面交換し貼りかえることにもなります。


 

 コチラは、大きなクラックが入っており、交換を余儀なくされた部分。

 

 タイルが剥がれているのは、タイル工場(岐阜県多治見市)へサンプルを提供する為。

 

 タイルの色合いは、大変重要ではありますが、一つとして同じ色のタイルはないと言っても過言ではありません。

 

 色合わせを慎重に行いながら、仕上がったマンションに期待を込めます。


 

 塗装の見本。

 壁に1m四方、塗装を施します。

 

 ポイントは3点

 

 1.三工程での仕上げを目視

 2.無駄ムラなく施工できるかどうか

 3.塗料の使用量は適当か

 

 本工事の塗装工事は、10年間の保証付き。多くの塗料メーカーが提供する期間と同様です。

 しかし、適当な工事を行ってしまっていれば、保証はされず増してや、手抜き工事にもなりかねません。

 塗料メーカーが保証するのは、適正な工事と、適量の塗料が使用されているかどうかで判断されます。

 

 1㎡あたりに使用すべき塗料の量が、この壁できちんと使用されているかどうか、その為の見本でもあるわけです。つまり、塗装の厚みも重要なわけです。

 

 ひとつひとつ、工程をチェックするのも、我々の仕事です。

 

 


 

塗料が、適量使用されたか、、、

 

それを判断するために、「空缶検査」を実施します。

 

 この工事現場の監督さんは、大変熱心に毎日を監理してくれていますが、我々コンサルタントは毎日出向くわけにはいきません。

 

 そのような時に判断基準となるのが、空缶の量を検査することです。

 

 建物に使用する塗料の量は、平立面図から計算が可能です。

 

 先の塗装見本から、1㎡に必要な塗料の量はわかりますから。あとは、割り算すれば、必要な塗料の量がわかるのです。

 

 

 


 

 施工途中でも、普段住まいしている住民さん。

 

 毎日の事ですから、我々は勿論ですが、施工会社、下請け会社等、十分な配慮が必要ですね。